犬を飼うならトイレの始末も飼い主の任務でしょう。と当たり前に思って生きてきた。
この時までは…
ワンちゃんの飼い主さんへ
ここでトイレをさせないでください。
ウンチは家に持ち帰ってください🐶
真新しい一軒家の駐車場スペースの地面に
その紙は貼られていた。
切実な願いだ。
自宅の駐車場の出入り口にう◯ちを残されては車が出入りする時に踏む可能性しかない。
「心中お察しします」という共感の気持ちが湧いた私は一軒家に近づき貼り紙をよくよく覗き込んだ。
紙にはかわいい犬のイラストが描かれていた。
発狂しても許される案件なのに、
訴えたい相手への気遣いを感じる言葉選びとデザイン。
雨に濡れても平気なように紙にはビニールカバーが施してあった。
完成までにある程度の時間がかかったであろうことは容易に予想される。
家主の丁寧で素敵な人柄がうかがえた。
この紙の仕上がりを見たらきっと犬の飼い主も改心するだろうとハッピーエンドを妄想して歩いていたら
危うく、う◯ちを踏みそうになった。
そう。ブツはそこにあった。
さきほど張り紙があった家から数件先の家の前に。
真夏なのに軽く震えた。
飼い主は、う◯ちを置いていく家を変えたってことか…?
う◯ちは意地でも持って帰らず
家を変えるという選択を取ったっていうのか…
世知辛い現実を目の当たりにして無力感に苛まれそうになったので
私の中ではこれはもう、新手の妖怪の仕業ということにしたかった。
が、〝こわいのはむしろ人間さ〟と
鬼太郎と目玉のオヤジが話していたことを思い出してすぐさま反省した。
自分さえ良ければいい。
人間には確かにそんな側面がある。
自戒を込めて。